事業概要

はじめに

宮城県仙台市に本社を構える当社、アンデックス株式会社(IT企業、コンピュータソフトウェア開発業)は、平成26年度より「水産×IT」事業として水産業へのIT利活用推進に取り組んでいます。この取組を行うにあたり松島湾近海を漁場とする宮城県南部漁業士会の漁師の方々、公立はこだて未来大学の和田雅昭教授(以下、和田教授)はじめ、多くの方にご協力頂いています。

震災後の海と漁師

東日本大震災後、今まで獲れていた魚が獲れなくなる、逆に獲れなかった魚が獲れる、牡蠣の大量死があった翌年には数十年に一度と言われるほどの良作になるなど、海の変化が大きく、漁師の長年培ってきた経験や勘が活かせない状況が続いていました。

海の変化の原因を探ろうにも、過去の漁場の状況は漁師の手書きの日誌に記載されているのみで、個々の漁師の主観が強く、分析は困難となっています。水産技術総合センターが公開している水温や栄養塩などのデータはありますが、データの取得から公表までに数日のタイムラグがあり、また、漁師が欲している漁場のデータではないため、漁業に役立てるには工夫が必要となり、容易ではありません。漁師からは、「自分の漁場のデータを取得することで作業環境を知りたい」「養殖漁場の栄養状態などを知ることで病気への対策をしたい」といった話を聞くことができました。漁師自身も海の情報のデータ化、データ活用の必要性を実感しています。

ITによる水産業の活性化

こうした問題解決の先駆者として、和田教授の取り組みがあります。和田教授は、iPadアプリ「デジタル操業日誌」を利用したマナマコの資源管理支援システムや、安価で簡単に設置可能な水温測定のための「ユビキタスブイ」の開発、などを行っています。和田教授の取り組みを受け、水産業の問題をITで解決すべく、当社も「水産×IT」事業として進めていくことを決めました。

本事業では、漁師が欲している漁場の水温の測定を行い、漁師が漁業に活かせる形に整形(スマートフォン向けアプリケーション化)し、提供を行っています。また、海苔の食育のためのアプリケーションや、競りのための情報共有システムなど、海の環境把握、漁師の漁業支援だけではない、水産業の支援・活性化の取り組みも行っています。

現在は主に松島湾周辺海域で牡蠣養殖と海苔養殖を対象に活動を行っていますが、将来的には宮城の水産業の全てを対象に行い、水産業そのものを盛り上げたいと考えています。松島湾から宮城へ、宮城から東北へ、東北から全国へと広げていき、ITによる日本の水産業活性化を目指します。