アナゴ漁へのマイクロキューブの活用
はこだて未来大学和田雅昭教授(以下、和田教授)が開発したナマコ資源管理アプリ「デジタル操業日誌」で漁船の航跡を取得するためにマイクロキューブという送信機(和田教授開発)が使われています。 マイクロキューブは漁船に設置されているセンサーからデータを取得後、携帯電話通信網を使って、外部へ送信する機能を持っています。 例えばGPSが設置されている船からは、位置・速度・船の向きのデータを送信することもできます。 この機能を宮城でも活かしたいと打ち合わせを行ったところ、アナゴ漁で活用できるのでは?と和田教授からご発案をいただきました。 アナゴ漁は夕方に線状に罠を設置し、翌朝に順に引き上げ漁獲します。 罠を設置する際は漁船の速度を落とすため、速度を可視化することにより罠を設置した場所がわかるようになるとご考案をいただきました。
アプリケーション「SeaWaterTemp」
この発案をもとに開発したアプリ「SeaWaterTemp」は、航跡・速度・水温を手元のスマートフォンで閲覧できるアプリです。 漁船に設置してあるGPSと水温センサで取得したデータをマイクロキューブがサーバーへ送信します。(※エンジン稼働と同時にマイクロキューブが動作を開始し、GPSで取得した位置情報を10秒おきに送信します) 送られたデータはサーバー内のデータベースへ蓄積され、アプリがそのデータベースに集まったデータを参照することにより航跡を表示させるという仕組みになってます。
(画像左:速度は左にあるメモリの4色に分けられ、3ノット以上が「青色」、1ノット以下が「赤色」です。画像の所々に赤い航跡が見られるため、速度を落として漁を行っているのがわかります。 画像右:「画像左」の航跡をタップして設定した場所を船が通過した時の水温を確認できます。 最大3つまで確認でき、A点、B点、C点と表示されます。)
さらなる活用に向けて
このマイクロキューブは位置情報だけでなく航跡の水温も取得するため、ユビキタスブイとは違い自由な場所の水温を閲覧できる特長があります。 そのため、漁に適した場所を水温データを元に分析することができ、また速度により漁をした場所がわかるようになれば具体的な場所ごとの漁獲量がわかるようになるなど、多くの活用が考えられます。 これらの特長はアナゴ漁に限らず、様々な漁業の安定化や効率の向上につながると考えています。